電通大の国際交流
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稲毛 契情報・通信工学専攻 博士後期課程

派遣先:アメリカ合衆国 Harvard University, School of Engineering and Applied Sciences, Vahid Tarokh Laboratory
派遣期間:平成24年7月11日~平成24年8月10日

研究テーマ:周波数共用における干渉電力制限の評価指標が当たるスケジューリングへの影響評価

活動の概要

派遣先のHarvard大学では、数値シミュレーションを利用した影響評価を行うためにシステムモデルの検討から行った。周波数共用の対象であるシステムとして携帯電話などで広く用いられているセルラ型システムを対象とし、その資源割り当てアルゴリズムについて調査を行っている。調査にはHarvard大学で利用可能な文献・論文などから調査を行い、モデルを決定した。その際に、アルゴリズムとしての性質やパラメータ影響などを先行して評価するために対象となるアルゴリズムをシミュレーション上で実装し、特性評価を行っている。その後、周波数共用のモデルについて先行研究について調査を行い、改めて本研究の新規性を確認した上でシミュレーションを作成し評価を行った。シミュレーションより得た結果等については、派遣先のProf. Tarokhとディスカッションを行い、研究における仮定や評価内容の妥当性について助言を頂いた。また、その後の研究方針についても助言を頂き、追加検討としての課題を明らかにしている。

研究成果概要

本派遣プログラムでは、無線通信の分野において注目されているコグニティブ無線について研究を行った。コグニティブ無線では、専用無線周波数を割り当てられている免許システムに対して、この周波数を二次的に利用する二次システムが、免許システムへ有害な干渉を避けつつ周波数を再利用することで周波数利用効率を改善する。研究の際に免許システムは様々な実在のシステムが仮定されるが、携帯電話などに代表されるセルラ型システムについての検討はあまり少ない。また、すでに行われている先行研究では、空間的な干渉分布特性についてのみ着目し、免許システムの保護性能を評価している。しかし、セルラ型システムは複数ユーザを多元接続させるために通信資源を時間・周波数に分割し適応的にユーザへ割り当てるスケジューリングと呼ばれるアルゴリズムの動作を行う。一定の式に基づいた干渉制限が、スケジューリングに与える影響について評価は行われておらず、本研究ではその影響を明らかにした。

国際化に関する所感及び提言

海外の大学における研究体制や考え方については、その場所に入ってみて実感する必要があると思います。これらは、その国の考え方や土地柄、大学としての設備や雰囲気に根差す部分があり、異文化に対する理解を深めるためにはある程度の期間が必要です。これらの理解を得ておくことは、これからの国際化に対する対応力を付けていくうえで非常に重要な点だと思います。

また、外国語のスキルも一定以上必要ですが、国際的な場でコミュニケーションをとれるだけの知識や教養も必要だと感じました。相手の国や大学に対してだけでなく、一般的な話題提供、またはその話題についていくだけの土台がなければ、研究分野のみの会話に傾倒しがちになります。そういった部分で、付き合いを作っていくことも重要だと感じました。

作成日:2012年8月27日 / 更新日:2012年8月27日