電通大の国際交流
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佐藤 圭吾知能機械工学科 学部

派遣先:中国 中国 電子科技大学
派遣期間:平成23年8月25日 ~ 平成23年9月22日

研究テーマ:二足歩行ロボットの脚部運動シミュレーションおよび解析

活動の概要

近年,本研究室では人間型二足歩行ロボット(ヒューマノイド)の脚部関節に機構的な工夫を加えることによって,静的な運動時(膝屈伸運動等)のアクチュエータにかかる最大トルクを低減させ,モータの減速比を下げることに成功した.これらがあらゆる静・動運動時でも実現可能であれば,ロボットの大型化やバックドライバビリティの低下を防ぐことができ,将来的にヒューマノイドの運動能力の向上が期待できる.

そこで,今回のプログラムでは,ヒューマノイドの動的運動時の挙動を明らかにし,その動作に適応しうる機構を着想するための第一歩の段階として,ヒューマノイドの歩行運動シミュレーションおよび解析を行った.シミュレーションモデル作成にはMSC社が販売している機構解析ソフトAdamsを用いた.具体的には,ヒューマノイドの歩行動作の簡易シミュレーションモデルを作成し,その際に各関節やリンクに加わる外力やトルクを測定した.またこの結果から,どの姿勢でどのくらいのトルクが必要になるのか,どの運動でどの程度のトルク変化が生じるか等の測定値を明らかにし,将来的な目的である,ヒューマノイド用の動運動時における負荷感応型アクチュエータの着想につなげた.

研究成果概要

第一に,今回の派遣プログラムを通して,3次元モデルによる歩行などの運動解析を本研究室に導入することができた.具体的には歩行時に必要なトルク,加わる外力など,各関節・リンクごとに導出できるようになった.また,MATLABなどでロボットの運動モデルなどを作成し,シミュレーションを行うためにはまずリンクの座標設定を数字入力でこなさなくてはならず,非常に準備段階が煩雑であった.しかしこのソフトウェア,Adamsを用いることによってロボットのモデルを作成することが非常に簡易化された.理論を抜きにしてまず発想をもとにシミュレーションを行う等の挑戦が本研究室で行えるようになったのも研究に対する非常に大きなモチベーションの増加につながる.

また,もともと実機を作成し実験を行ったものをAdams上で簡易モデルを作成し,シミュレーションをしてデータを収集することにより,実機による実験とAdamsによるシミュレーションの双方からの考察も行えるようになった.ヒューマノイドロボットの運動解析は不明な部分が多い,まだまだ将来的な発展が期待できるヒューマノイドロボットの分野において本研究が高い水準で研究が行えるようになったといえよう.

8 国際化に関する所感及び提言

今回の派遣を通じて第一に感じたことは,中国の学生は何事にも貪欲で熱意をもって取り組んでいるということだった.研究活動中,ソフトウェアの操作に問題が生じ,同じ研究室の学生に尋ねた際には初対面にも関わらず,親切に対応してくれ,一緒に答えが出るまでとことん考えてくれた.他の研究室見学や学部生の授業に参加した際は,私が日本の大学で行っている研究分野や日本文化・慣習についてなど逆に熱心に質問された.

その他にも,英会話対する能力や学ぼうとするモチベーションが非常に高いことがうかがえた.四川大学のイングリッシュコーナーでは,多くの人々が年齢・専門を問わず自身の英会話能力を磨こう必死だった.また私を中国人だと思い中国語で話しかけてきた学生に中国語が理解できない旨を伝えると,すぐさま英語に切り替えて会話を継続してきた.

日常生活面で特に印象的だった事は,バスや電車では若者は必ず老人に席を譲り,目上の人間を強く尊重する姿が見受けられことだ.これらは全てなかなか日本では垣間見られることではない.私自身も見習うべき面が非常に多く,そういう点で今回の経験は私にとって,とても有意義で強い刺激になった.

最後に,このような機会を与えてくださった,国際交流センターや学生課国際企画係の方々,指導教官である明愛国准教授,青山尚之教授,電子科技大学で研究指導してくださった徐教授,王教授,流暢な中国語で現地の案内と通訳をしてくださった電通大の神保陽平さん,並び現地の学生,スタッフの方々,滞在中含め出発前も私に助言をしてくださった全ての方々に深く感謝いたします.この経験を無駄にせずこれからも様々なことに精進していこうと思います.

作成日:2011年9月22日 / 更新日:2012年3月 8日