電通大の国際交流
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篠崎 高彰知能機械工学専攻 博士前期課程

派遣先:台湾 淡江大学
派遣期間:平成24年8月16日~平成24年9月13日

研究テーマ:アーチェリーロボットに関する研究

活動の概要

本プログラムでは淡江大学の翁研究室において主に弓発射ロボットについての研究を行った。 はじめに、課題解決型学習として、講義で使用されている移動ロボットのハードウェア、ソフトウェアについての講義テキスト(中国語)を用いて基本的な仕組みを学ぶとともに、それを基にLEGO MINDSTORM(センサ、アクチュエータ、機械要素、マイコンからなる組み立てキット)を用いて、テーマを決めたうえでロボットを作成した。テーマとして弓発射ロボットを選定し、現地学生と議論しながら設計方針を固めた。実際に作成するにあたって、様々な問題が生じたが、そのたびに議論を重ねて設計方針を変更した。様々な技術的問題についても一つずつ検討、改良することを繰り返すことで解決していった。議論は英語で行い、講義テキストも中国語で書いてあったため、英語による相手の説明を聞き理解した。議論中は、互いに相手の言っていることを理解してそれを再確認する必要が多々生じた。加えて、自分の設計方針を相手に理解してもらうために説明を工夫する必要もあった。これらの要因から、私は技術英語も含めた自分の英会話能力を実践的に訓練した。さらに、翁研究室でロボットアーム大会に参加するチームのミーティングに参加し、その大会にも同行した。ロボットアーム大会では各大学の個性豊かなロボットを見ることができた。また、併催されていた機構要素展やロボット展などでは約1300にも上る世界中の企業・機関・団体が集まり、各社の最新技術を用いた製品が展示されていた。私はそれらを見学することで各分野の知見を深めることができ、意義のある見学をすることができた。

研究成果概要

今回の研究で、センサや駆動系の学習をした後、弓発射ロボットの作成を行った。Lego mindstormで簡易の弓と矢を作成し、その弓を引いてその矢を放つことを仕様とした弓発射ロボットを作成した。まずは設計を行い、それをもとにして組立とプログラミングを行った。完成したものを評価し、仕様を十分に満たしていなかった場合は問題個所を再度設計しなおし、同様の作業を繰り返した。とくに、弓の復元力の強さはロボットを作成するにあたって大きな障害となった。弓の復元力が強い場合、弓を引く時にロボットにすべりや変形が生じることになり、これが原因で弓を十分に引くことができなくなったからである。弓の復元力を弱めると矢の飛距離が十分に得られないと分かったため、ロボットの設計を変更することで対処した。最終的に、矢を1.5m飛ばすことができる弓発射ロボットを完成させた。今回作成したロボットは様々な設計変更の結果、私の研究テーマであるアーチェリーロボットとシステムが大きく似ることとなった。これらは実際に自分の研究課題と共通した問題(弓を引くとロボットに大きなたわみが発生する)を有することになった。しかし、最初から同じシステムのロボットを自分で作成したことにより、今の課題がなぜ発生したのか理解することができた。私は今後の研究でアーチェリーロボットの各部の開発を行うのでこれらの成果を存分に生かしていきたいと思う。また、これらのロボットを作り上げる過程で現地学生と多くの議論を英語で交わした。私は日常会話には自信があったが、技術英語に関してはまだ至らぬ点が多く、これらの議論を通して将来技術者に必要になるコミュニケーション能力を強化できた。今後は、身に付けた英語力をより実用的にするために、本学に来ている留学生と積極的に交流していきたい。

国際化に関する所感及び提言

このプロジェクトを通して、今まで使ってきた日常会話の英語だけでは技術者としては不十分だということを痛感した。やはり日常会話だけでなく、自分の設計方針を相手に説明できる能力に加え、間違いなく専門用語を使いそれが相手に伝わらない場合はその意味も説明できる能力が必要だと再確認した。台湾の学生にとっても英語は母国語ではなく、相手が言ったことを自分が理解したと思っていても、相手の言い間違いや自分の勘違いなどが生じてしまうことがあった。将来、研究や開発などで国際交流する場合、互いの考えを齟齬なく伝えることが必要となるため今後もこれらの能力を鍛えていきたい。
今回の滞在で多くの台湾の友人を得ることができた。このような機会がなければ得られなかった貴重な友人であり、外国人と交流することで日本と違う常識も理解した。これらの体験により国際常識をさらに身に付けることができた。

作成日:2012年10月17日 / 更新日:2012年10月18日