電通大の国際交流
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栗原 洋輔総合情報学専攻 博士前期課程

派遣先:アメリカ合衆国 ペンシルバニア大学・触覚学研究室
派遣期間:平成24年9月17日~平成24年12月31日

研究テーマ:触振動フィードバックによる人体のバーチャルなロボット化

活動の概要

アニメや映画では、ロボットやゴム人間など身体が普通の人間とは異なる材質で構成されているキャラクターが登場する。たとえ実在しないキャラクターであると分かっていても、その身体的特性は非常に興味深く、視聴者の多くが一度はそのキャラクターになってみたいと思うだろう。しかし映像を見ることでその身体的特性は理解できるもののキャラクター自身が感じている自己身体感覚は我々が経験したことのない感覚であるため、再現どころか感覚を想像することさえ難しい。
そこで本研究では身体が金属で構成されているロボットの身体感覚に着目し、実際のロボットアームから計測された振動をヒトの肘関節にフィードバックすることで、人の腕があたかもロボットになったかのような感覚を呈示することを試みる。

まずロボットアームを駆動させたときに関節に生じる振動を、加速度センサを用いて計測する。次に取得された振動波形と同じ周波数特性を持つように線形予測符号化を用いたモデリングを行う。最後にモデル化された振動波形をユーザの腕の動きに同期させて出力し、ユーザの肘関節に取り付けた振動子を駆動して触振動刺激を呈示する。
本研究は例えばユーザ自身が映画に出てくるロボットヒーローになって戦うゲーム等、新たなエンタテインメントシステムへの応用が考えられる。

研究成果概要

本研究成果は2013年5月22~25日に茨城県つくば国際会議場にて開催される日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会にて発表する予定である[1]。本学会では講演件数が毎年1,000を越え、我が国のロボティクス・メカトロニクスに関する学術研究を牽引する重要な講演会である。
また、本研究成果は2013年7月21~25日にアメリカ合衆国・アナハイムにて開催される国際学会ACM SIGGRAPHのEmerging Technologiesセッションに投稿済みである[2]。本学会はコンピュータグラフィックスおよびインタラクティブシステムに関する世界最高峰の学会であり、本セッションは極めて革新的な技術のデモンストレーションを行う世界的注目度の高い場である。

留学前からの研究であり本研究の前身となったVirtual Alteration of Body Material by Periodic Vibrotactile Feedback(離散的触振動フィードバックを用いた身体材質感の変調)は、2013年3月18日~20日にアメリカ合衆国オーランドのWalt Disney Worldにて開催される国際学会IEEE Virtual Reality Conferenceに口頭発表として採択済みである[3]。本学会はバーチャルリアリティ分野における世界トップの国際学会であり、日本人研究者の採択数は極めて少ない。本口頭発表の中で本留学中の成果についても報告する予定である。

[1] 栗原, 蜂須, 佐藤, 福嶋, Kuchenbecker, 梶本: 触振動フィードバックを用いた肘関節材質感の変調, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2013, 2013.
[2] Y. Kurihara, T. Hachisu, M. Sato, S. Fukushima, K. J. Kuchenbecker, H. Kajimoto: Jointonation: Robotization of Human Body by Vibrotactile Feedback. ACM SIGGRAPH 2013 Emerging Technologies, 2013 (Submitted).
[3] Y. Kurihara, T. Hachisu, M. Sato, S. Fukushima, H. Kajimoto: Virtual Alteration of Body Material by Vibrotactile Feedback. IEEE Virtual Reality Conference 2013, 2013 (Accepted).

国際化に関する所感及び提言

自ら積極的に行動していかなければ、私は世界から取り残されてしまうと感じた。本プログラムとして研究留学をするにあたり、留学先のスーパーバイザであるKatherine J. Kuchenbecker教授には自ら直接メールでコンタクトを取り、Skype面接を経て受け入れの許可を得た。日本での就活面接さえ未経験の私にとって英語での研究面接は極めてハードルの高いものであったが、拙い英語でも自分の考えや熱意を正直に伝えることで門をたたけば、研究者はその門は開いてくれることを知った。留学中も、私が必要としている部品の発注や用事を先生や研究室メンバーに頼むと彼らは損得考えずに快く引き受けてくれた。ディスカッションでも、勇気を出して自分の意見やアイデアを積極的に発言することで全メンバーが話を聞いてくれ、有意義な意見交換ができた。自分のやる気次第で、世界を舞台に活動することは十分可能である。

留学先の研究室とは研究分野が極めて近いため、互いに同じ学会(2013年4月・韓国)での研究発表が既に決まっており、今から再会が楽しみである。また学会後日本を訪れ、本大学で私が所属する研究室を訪問しに来る予定である。私一人が留学することによって、私の所属する研究室間・大学間の繋がりができる可能性がある。

自ら踏み出す国際化への一歩が結果としてどれだけ自分の成長に繋がるのか。これは残念ながら実際に一歩踏み出した者でないと分からないことであるように感じる。今後も海外へ行くチャンスがあれば積極的に挑戦し、自らの成長に繋げて行きたいと思う。

作成日:2013年3月18日 / 更新日:2013年4月23日