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宮城 晴英先進理工学専攻 UECポスドク研究員

派遣先:アメリカ合衆国 カンザス州立大学
派遣期間:平成23年1月12日~3月16日

研究テーマ:強レーザーパルスによる2原子分子のイオン化ダイナミクスについての理論研究

活動の概要

私は、アメリカ合衆国、カンザス州立大学のC. D. Lin教授の研究室に出張し、研究を行った。ここは、原子分子のレーザーイオン化についての理論研究を、基礎、応用の両面から進めている研究室であり、国際的にも有名である。

出張中、私は強レーザーパルスによる1電子2中心Coulomb系(1電子2原子分子)のイオン化ダイナミクスに関する研究をおこなった。強レーザーパルスが照射されたときの系の時間発展を精密に計算するために、扁長楕円体座標を用いて問題を定式化し、それに基づいてプログラムコードの開発を行った。この研究は、ともに出張していた電気通信大学の森下亨 助教と共同で遂行した。研究を進めるにあたり、研究室のスタッフから様々な助言を頂いた。これにより、研究内容をより深めることができた。

研究室では、週に一度、各自の研究の進展状況についてスライドを用いて発表を行う、研究室ミーティングが行われる。私もこれに参加し、発表を行った。これは自身の研究内容を纏めるのに役立った。また、英語による論理的な議論の仕方を学ぶことができた。他のスタッフの研究を聴き、今後の研究に役立つ多くの知識を得ることができた。

出張中、C. D. Lin教授の研究室のスタッフ、および森下亨 助教には、大変にお世話になった。研究に関することのみならず、アパートの手配、食生活など、私のアメリカでの生活をサポートしていただいた。ここに深い感謝の意を表する。

研究成果概要

前述のように、C. D. Lin教授の研究室で、私は強レーザーパルスによる1電子2中心Coulomb系のイオン化ダイナミクスに関する研究を進めた。また、これと平行して、この系における時間非依存の散乱問題、即ち、空間に固定した2つの核による電子散乱について理論研究を行い、散乱の微分断面積の精密な計算を行った。微分断面積は、系をレーザーイオン化した際に起こる、光電子-分子イオンコア再衝突を解析するのに必要不可欠な、重要な量である。また、扁長楕円体座標を用いて計算した散乱波動関数の精度を確かめるために、系に対する、摂動論による光イオン化断面積の計算を行った。この電子散乱、及び光イオン化の断面積に関する研究成果は、論文に纏め、近日中にPhys. Rev. Aに投稿予定である。

C. D. Lin教授の研究室では、スタッフとの議論、勉強を通じて、原子分子のレーザーイオン化に関する新たな知識を得ることができた。強レーザーパルス中における2原子分子の高次高調波発生、強レーザーパルスによる2電子原子のイオン化ダイナミクスなど、様々な現象に関する理論と計算法について学ぶことができた。現在、電気通信大学の渡邊研究室でも、強レーザーパルスによる原子分子のイオン化に関する理論研究を進めている。今回のアメリカ出張で得た新たな知識は、今後、電気通信大学で研究を進めて行く上で有用である。

国際化に関する所感及び提言

C. D. Lin教授の研究室では、スタッフとの議論を通じ、英会話、および英語による論理的な議論の仕方を学ぶことができた。これらのスタッフとは、今後も互いに共同研究者として、協力しながら研究を進めて行く計画である。

日米の研究スタイルの違いにも、学ぶところがあった。例えば、日本では、夜遅くまで研究室に残って仕事をするのが一般的なスタイルである。一方、アメリカでは、皆、夕方には仕事を切り上げて帰宅する。時間を区切りながら、効率よく仕事を進めるのがアメリカ流なのである。一概にどちらのスタイルが優れているとはいえないが、こうした違いに触れ、大きな刺激を受けた。

作成日:2011年3月16日 / 更新日:2011年11月18日