電通大の国際交流
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豊島 彩知能機械工学専攻 博士前期課程

派遣先:中国 華南理工大学
派遣期間:平成22年8月22日~9月20日

研究テーマ:対向微流動を用いた微小物体の非接触位置決めシステム

活動の概要

本プログラムでは、研究テーマにおける基礎的実験を行った。

近年、多様な分野において、微小対象物の精密作業を行う重要性がますます増大している。特に、対象物に触れることなく操作が可能な非接触型は、対象物を損傷することがないため需要が高まっている。ゆえに本研究では、微小流動を用いた対象物の位置決め手法の開発に取り組んでいる。

非接触位置決めシステムでは、対象物の両側にガラス管を設置し液体を微小に放出させる。この放出させた微小流動の大きさや、発生させる位置を変化させることによって、対象物の移動を行う。両側から同量の流量を放出した場合、対象物は両側のガラス管の中間に位置決めされる。片方の流量が大きい場合には、流量が小さい方に対象物は移動する。ガラス管から発生させる対向流を維持したままガラス管を下方向に移動させた場合には、対象物もそれに追従する。ガラス管を右上方と左下方に設置した際には、対象物はその流れに従って左回転する。

派遣先ではこのシステム実現の導入として、試験機を製作した。試験機では、ガラス管として直径1mmのものを使用し実験を行った。

研究成果概要

本プログラムにおいて、研究テーマにおける基礎的実験を行うことに成功した。特に、回転動作実験においては、動作実現に必要な条件を推定し実行することにより、回転動作を確認した。

回転動作実験の実現には、派遣先の大学にてシミュレーションを行い、その結果から動作実現に必要なガラス管の設置位置や対象物の大きさといった条件を予測し、その情報をもとに実現させた。実験は直径約1mmの蜜蝋を対象物として行った。この対象物からシミュレーションにて推定される理想の位置にガラス管を位置決めし、流れを発生させることによって回転動作を実現させた。実験では、ガラス管の出口径の変更、対象物の検討などを行った。また、実際にどのような流れが発生しているかを知るために、墨汁を用いることによって流れの可視化を行った。これにより、対象物付近の流動を観察することにも成功した。この実験結果から、動作実現のためにはガラス管から排出する流量に加え、流速や圧力等の数値についても十分に考慮し、今後の研究を遂行する必要があることがわかった。この成果をもとに試作機の改良を図り、非接触位置決めシステムの実現に繋げる。

国際化に関する所感及び提言

本派遣によって、海外の大学における研究環境および生活についての一端を体感することができた。この経験は、大学や企業を問わず国際化が進んでいる日本における今後の生活を考えても、非常に有意義であったと考えられる。特に、一見研究活動とはあまり関わりがないように感じられる、他国の文化や言語、生活を知ることも、共同で活動する際には非常に重要なことであった。特に、一日の生活サイクルの違いや食事については戸惑うことも多かった。しかしこれらのことを互いに理解し、コミュニケーションを積極的に行うことが研究活動を円滑に進めるためには欠かせなかった。

作成日:2010年9月20日 / 更新日:2011年11月18日