電通大の国際交流
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中尾 博明先進理工学専攻 博士後期課程

派遣先:スウェーデン Stockholm(Europhoton Conferenceへの参加) , ドイツ Institut für Strahlwerkzeuge(IFSW), Universität Stuttgart
派遣期間:平成24年8月25日~平成24年12月1日

研究テーマ:Yb:LuAG ceramic thin-disk laserの研究

活動の概要

高出力thin-disk laserを構築するにあたっての基本的な知識・技術の修得、高出力レーザー動作時における通常とは異なる現象についての見識を深めることを主目的とした。また、IFSWでは高出力レーザー加工機等への応用研究も盛んに行われている。白川研究室では基礎研究が中心であるため、研究の方向性の違いを学ぶことで視野を広げ、基礎分野と応用分野の連携について考える良い機会であった。主な活動内容は以下の通りである。

実験
  • マルチパス励起光学系の調整法の修得及び、Yb:YAG単結晶を用いた高出力CWレーザー発振実験
  • 白川研で用意したYb:LuAGセラミックを用いたthin-disk laser性能の評価(CW、モード同期)
  • 上記性能評価中に起こった問題の原因の検討
  • ダイアモンドヒートシンク上に熱伝導接着剤を用いて接着されたYb:YAGセラミックの高出力CWレーザー発振実験
他の活動
  • 進捗状況、実験計画修正のためのミーティング(隔週月曜日)
  • 発表形式での問題点のディスカッション(不定期)
  • Sweden, Stockholmで開催されたEurophoton Conferenceへの参加

研究成果概要

今回の派遣の主目的は、白川研で用意したYb:LuAGセラミックthin-disk laserの性能評価であった。Yb:LuAGセラミックは神島化学工業株式会社との共同研究により近年開発されたレーザー材料であり、thin-disk laserとして用いるのは今回が初めての試みであった。私達に充分なノウハウが無かったことが最も大きな原因であるが、問題続きで当初の計画通りに実験計画を遂行することができなかった。試料の形状、厚み、コーティング等、多岐に渡るパラメータに起因する問題が発生した。しかし、その都度ディスカッションや追実験を行い、原因をほぼ絞り込むことができた。また、ダイアモンドヒートシンク上に熱伝導接着剤を用いて接着された特殊な試料を貸与して頂き、真の意味で高効率・高出力なthin-disk laserを体験できたことは、これからの研究にとって非常に意味のある事であった。

白川研では近年thin-disk laserの研究・開発に着手したばかりである。Thin-disk laserはその特徴から数々のノウハウが必要である。今回、最先端の高出力thin-disk laserの研究を行っているIFSWに訪問、実際に研究を行ったことで、現在抱えている問題を多少なりとも明らかにすることができ、これからの研究の方向性を定めることができた、大変有意義な派遣であったと言える。

国際化に関する所感及び提言

第一に英語能力の重要性を強く感じた。ディスカッションの中で、意見を聞き、理解し、回答を模索、それを適切な英語で表現する、という一連の流れを素早く、しかも継続して行うことは非常に難しく、最も苦労した事でもある。自分の主張したいことを適切かつ簡潔に表現するために、より積極的に英語を使う機会を増やす必要があると強く感じた。また、積極的なコミュニケーション能力についても見習うべきであると感じた。滞在中には日常生活の中でも様々な層の人と会話する機会が多くあり、日本との違いを非常に大きく感じた。

今回の派遣では、運良く3ヶ月という比較的長期の滞在が可能であり、短期滞在とはまた違った様々な経験をすることができた。これは、これからの研究生活へ大いに役立つ経験の蓄積のみならず、自分自身にとっても非常に有意義な経験であったと言える。

作成日:2013年1月11日 / 更新日:2013年1月11日