電通大の国際交流
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服部 聖彦総合情報学専攻 助教

派遣先:ベルギー ブリュッセル自由大学(ULB) Marco Dorigo研究室
派遣期間:平成24年9月11日~平成25年1月13日

研究テーマ:複数の自律ロボットを用いた災害時緊急通信網の構築,および,スワームロボットシミュレータARGoSを用いた複数ロボットの協調による高精度位置推定に関する研究

活動の概要

1.複数の自立ロボットを用いた災害時緊急通信網の構築に関する研究
東日本大災害に代表されるような広域震災発生時には、被災者発見センサ網および臨時通信網の迅速な構築が必要である。しかしながら既存のセンサネットワークやアドホックネットワークの技術では、刻一刻と変化する環境への対処や迅速な構築を考慮されていないことが多い。この課題に対し被派遣者、無線インタフェースとセンサ機能を保持した小型自立ロボットを複数用いることにより、迅速なネットワーク構築と状況に応じた動的な対処を可能とする新たなモバイルロボット・ネットワーク網の構築を検討している。
派遣先のULB、Marco Dorigo研究室は小型自立ロボットの複数連携システムに関して世界でも有数の実績を保持している。被派遣者はMarco Dorigo教授および研究室のメンバーとディスカッションを行うことで研究のブラッシュアップを行うとともに、検証システムの構築を行った。

2.スワームロボットシミュレータARGoSを用いた複数ロボットの協調による高精度位置推定に関する研究
派遣先のMarco Dorigo研究室では独自にARGoSと呼ばれるスワームロボットシミュレータを開発・公開している。ARGoSではロボットと空間およびロボット間のインタラクションに物理相互作用エンジンを利用しているため、妥当性の高いアルゴリズム検証が可能である.被派遣者はこのシミュレータを用いて、JAXAと共同で行なっている複数ロボットの協調による高精度位置推定手法の妥当性および有効性の検証を行った。

研究成果概要

被派遣者は現地滞在中において論文1本の投稿と研究費申請を行った。加えて、現地で得た研究アイデアを基に1本の論文と国際会議への投稿を準備中である。
本学、並びに日本の研究者への大きな貢献可能性としてスワームロボットシミュレータARGoS技術の紹介が挙げられる。このシミュレータARGoSは非常に優れた特徴を多数持つにもかかわらず、ドキュメント不備のためMarco Dorigo研究室および関係者以外では殆ど使われていない。そこで被派遣者は本学および国内のロボットコミュニティにおいてARGoSを紹介、普及させることにより、ロボティックスや無線ネットワーク網の研究促進が期待される。

研究交流という面では世界的に大変著名なMarco Dorigo教授、および彼の研究室のメンバーとの交流関係が出来たことが挙げられる。今後はこの関係を積極的に利用して研究交流を行う予定である。具体的にはJSPSの外国人招へい研究者などへのアプライを検討している。また今夏には被派遣者の外部研究費を用いた短期滞在も予定している。

最後に、小型自律ロボットの有用性は東日本大震災を境に大きく着目されるようになったと考える。具体的には京都大学の松野先生がロボットを使った被災地支援活動がその一例としてあげられる。故に、この分野での研究促進や評価実験を進めることで、本学の対外的な知名度、評価に積極的に貢献出来ると考える。

国際化に関する所感及び提言

1.所感
Marco Dorigo教授は最適化や群ロボットの分野における世界的権威であり、様々なプロジェクトを並行して実施していることもあって、ラボメンバーの出身地がイタリア、ブラジル、イギリス、チリ、フランス、ドイツ、シリア、中国、USAと大変国際色豊かであった。そのため、ラボの公用語としては英語が使われているが、同郷メンバー間では母国語を使用していたので、ややコミュティに排他性を感じた。またDorigo教授自身が大変ご多忙なこともあってか、日本の大学でよくある定期的なミーティングやゼミは皆無なため、各人の研究を理解する上でやや困難があった。しかしながら、ARGoSの学習機会や実際の群ロボットの実験に触れることが出来、大変有意義に感じた。

2.提言
国際化を行う上では、英語を用いた講義の充実を図ることは言うまでもないが、多くの研究室において日常的に英語を用いたディスカッションを可能とする体制が必要と考える。派遣先では学部学生向けだけでなく博士課程の学生やポスドク向けに日常会話を支援するためのフランス語教室を開催しており、大変よいシステムであると感じた。また、外国からの学生、研究員を支援するための専門のリエゾン・オフィスがあり、VISA取得から現地アパートの仲介等を支援して頂いた。加えて、研究室内では私の生活を公私共に支援してくれる親切なメンター学生がいた事も大きい。このようにいろいろなレベル(VISA、住居:リエゾン・オフィス、現地言語:言語教室、現地生活:メンター学生)で支援出来る体制を整えることが非常に重要であると感じた。

作成日:2013年3月18日 / 更新日:2013年3月18日